色選好には性差があることが知られています。しかし、これらの性差には生まれつき生じるという説と、環境や文化の影響により後天的に生じるという説の両方があり、未だに議論が続いています。
また、性差に関わる性ホルモン、男性ホルモンの中にアンドロゲンと呼ばれるホルモンがあります。母親のお腹の中にいる胎児期にこのアンドロゲンをどのくらい浴びるかによって、人差し指と薬指の長さの比(2D:4D比)が変わると考えられています。2D:4D比は色選好と関わりがあるとも指摘されています。
そこで本研究では、色選好の性差は生まれつきあるのか、生後の環境や文化によって後天的に生じるのかについて明らかにすることを目的に、調査を実施しました。具体的には環境の影響をまだ受けていないと考えられる乳児を対象に、オンラインを介した選好注視法を用いた色選好課題、2D:4D比の測定、乳児の周辺の色環境の測定を実施し、色選好の性差、また、2D:4D比、及び、色環境との関連を検討しました。
データの分析は一部に留まりますが、青とピンクの車と人形のイラストを乳児に見てもらい、その注視時間を測定した選好注視法を用いた色選好課題の結果、男児は青い車に対して一番長く注視する傾向があることが示されました。今後、残りのデータを分析し、色選好の性差は生まれつきあるのかどうかを、2D:4D比と色環境との関連と合わせて明らかにする予定です。
より詳しい説明は2024年の紀要「発達研究」(公益財団法人発達化学研究教育センター刊行)に掲載された論文をご覧ください!