(調査実施時の調査名: 1歳半・3歳頃の発達・行動の特徴は乳児期から見られるのか?)

コロナ禍においては、感染拡大予防のため、さまざまな社会規制が行われました。特に外出や集団活動の自粛は、子どもたちの言葉やコミュニケーションの発達に影響を及ぼすのではないかと危惧されていました。 本研究では、2020年から2023年にかけて実施された乳幼児(生後10-11か月/生後18-24か月)の発達調査の結果をもとに、コロナ禍が子どもの発達に及ぼした影響について検証しました。発達評価には専門家が個別に実施する発達検査と、保護者の方に記入して頂く発達質問紙が使われました。ここでは専門家による発達検査の結果について説明します。この発達検査では、子どもの運動面、認知面、言語面の3つの発達の側面について評価することができます。
本研究の結果、生後10か月時の調査では発達のいずれの領域においてもコロナ前(2015-2019年)の発達調査との差は見られませんでした。一方、生後18-24か月時の調査では、言語面の発達指数がコロナ前と比べて低下していることが明らかとなりました。
本研究により、コロナ禍が子どもの言語発達の側面にネガティブな影響を与えた可能性が示されました。コロナ禍の影響について、専門家が個別に実施する発達検査の結果によって明らかにした研究はほとんどなく、本研究はコロナ禍が子どもの発達に及ぼした影響について検証する上で重要な研究結果を示したと考えます。さらに、この発達への影響が社会規制解除後にも残されているのか、それとも解消しているのかを明らかにすることが重要です。本研究の18-24か月時の調査に参加した子どもを対象に、その後の発達経過を確認(36-42か月時の発達調査)しており、その研究成果についても近いうちにご報告したいと考えています。
図1 生後10-11か月時の発達調査の結果
図2 生後18-24か月時の発達調査の結果
論文にもなりました!! 皆様のご協力のおかげです。ありがとうございます。