保護者視点からはじまる赤ちゃん調査
イヤイヤ期の子どもについて:パートI
方法
お子さんの年齢と性別
| 性別 |
人数 |
| 男性 |
119 |
| 女性 |
117 |
| 答えたくない |
61 |
年齢の分布
1歳から3歳までに多くのお子さんの年齢が集中していました。一番多い年齢群は1歳6ヶ月でした。
イヤイヤ期の段階ごとの参加者の年齢分布:
イヤイヤ期がこれからなのか、最中なのか、もう終わったのかによってグループ分けをして、それぞれの年齢分布を調べました。自分の子どもはイヤイヤ期の最中であると答えた保護者の子どもの年齢は早ければ1歳、中心は2歳、3歳半までがほとんどでした。もう終わったと答えたグループの子どもの年齢は3歳から増えてることから、3歳半以降はイヤイヤ期を卒業している子どもが、今回の調査に参加された子どもの分布となります。
このことは、保護者にイヤイヤが激しかった時期はいつですか?と聞いた時に、2歳と答えた数が最も多く、1歳半と2歳半を含めるとほぼ全ての回答が含まれることからも確認できます(右端の「まだ」はイヤイヤ期をまだ迎えていないお子さんの数、NAは無回答を示します)。
結果
「これから」「最中」「もう終わった」で回答が分かれた質問(群間で統計的な差異があったもの)
- イヤイヤの原因と特徴に関する認識
- 子どものイヤイヤは、自分の意図を親などが汲んでくれないから生じていますか?
- 子どものイヤイヤは、ひどくて手がつけられないことがありますか?
- 環境が変わって(下の子が生まれた。引っ越ししたなど)でイヤイヤが出てきた気がする
- 話せる言葉が増えてコミュニケーションができるとイヤイヤは減る
これらのことから、
- イヤイヤ期を乗り越えた保護者は、親が子どもの意図を汲めないことがイヤイヤの原因であると感じており、子どもが話せるようになるとイヤイヤも減ると感じている。
- イヤイヤ期を乗り越えた保護者は、環境変化がイヤイヤを引き起こしていたと感じている。
といえそうです。
- イヤイヤへの対処法と効果
- 泣かせない育児を実践している
このことから、
- 泣かせない育児をしようと最初は思っていても、無理だと気づく。
といえそうです。
- 保護者の感情と心理状態
- イヤイヤの理由や気持ちをわかってあげられない自分は失格と思ってしまう
- イヤイヤにうまく対処できないと責められている気分になる
- イヤイヤ期も今となっては懐かしい
- イヤイヤ期の子どもに間違った対処をしたら悪影響が残るかもしれないと心配である
これらのことから、
- イヤイヤ期を迎える前の保護者は子どもの気持ちをわかってあげられない自分は失格だと思いがちですが、経験中や終えた後の保護者は、完璧でなくてもよいと感じやすい。
- イヤイヤ期を乗り越えた保護者は、その経験を懐かしく感じる傾向があります。これは時間の経過とともに困難な経験を肯定的に再解釈するようになる。
といえそうです。
- 子どもの発達に関する信念
- なんでもすぐに叶えられるより少しは泣いたほうが心の発達の上でもいいと思う
このことから、
イヤイヤ期を経験する前の保護者は、適度な欲求不満が子どもの発達に有益だと考える傾向が強いですが、実際の経験を通じてこの考えがやや弱まる傾向があるといえそうです。
「これから」「最中」「もう終わった」で回答が分かれなかった質問(抜粋)
一方で、三つのグループに共通して当回答傾向が類似する回答もいくつかありました。その中で興味深いと思えるものを二つ挙げます。
- 人で抱えず別の大人と話すと楽になった →ほぼあてはまる
- イヤイヤも自分に余裕があると可愛いと思えるが、余裕がないとそう思えない
考察
アンケートの結果を踏まえると子育て中の保護者は以下のことに気をつけることでイヤイヤ期への対応が少し楽になるかもしれません。
-
コミュニケーションの重視: 子どもの言語能力を育むことは大切かもしれません。簡単な言葉で気持ちを表現する方法を教えることで、イヤイヤの減少につながる可能性があります。
-
環境変化への注意: 引っ越しや兄弟の誕生などの大きな変化はイヤイヤの一因となっている可能性があります。
-
自己批判を避ける: 子どもの気持ちを完全に理解できないからといって、自分を責めすぎないようにしましょう。結局それほど心配する必要はないのかもしれません。
-
長期的視点を持つ: 現在の困難な状況は永遠に続くわけではありません。多くの保護者が後にこの時期を懐かしく思い出すようになることを覚えておきましょう。
-
サポートを求める: 他の大人(パートナー、家族、友人、専門家など)と話すことでストレスが軽減されることがあります。一人で抱え込まず、サポートを求めることを恐れないでください。
appendix
アンケートは全部で29問ありました。これらをその質問内容に応じて6つに整理しなおしています。(太字は結果の章で取り上げているものです)
イヤイヤ期に関するアンケート調査の質問のカテゴリー分け
1. イヤイヤの原因と特徴に関する認識
- (1) 子どものイヤイヤは、やりたいことができなかったり、止められるせいで生じていますか?
- (2) 子どものイヤイヤは、イヤイヤ(反抗・反発)すること自体が目的になっていますか?
- (3) 子どものイヤイヤは、親の気を引きたいためにしていますか?
- (4) 子どものイヤイヤは、人に指示されるのがいやで生じていますか?
- (5) 子どものイヤイヤは、自分の意図を親などが汲んでくれないから生じていますか?
- (6) 子どものイヤイヤは、ひどくて手がつけられないことがありますか?
- (7) 子どものイヤイヤは、お昼寝がうまく取れなかったり、眠たい時に生じますか?
- (8) 子どものイヤイヤは、親がすぐに対応しないと強まりますか?
- (11) 環境が変わって(下の子が生まれた。引っ越ししたなど)でイヤイヤが出てきた気がする
- (16) 話せる言葉が増えてコミュニケーションができるとイヤイヤは減る
2. イヤイヤへの対処法と効果
- (9) イヤイヤ期の子どもへの正しい対処があると思う
- (10) はいと答えた人:自分はそれができていると思う
- (13) いや!となってしまった後の子どもの落ち着かせ方を知りたい
- (14) 泣かせない育児を実践している
- (15) はいと答えた人:うまくいきますか?
- (17) イヤイヤした時には、お菓子やおっぱいで気を逸らすことができる
- (28) イヤイヤする子どもをなだめるために少しぐらいの嘘は言ってもいいと思う
3. 保護者の感情と心理状態
- (18) 子どものイヤイヤにつられて自分も爆発しそうになる
- (20) イヤイヤも自分に余裕があると可愛いと思えるが、余裕がないとそう思えない
- (21) イヤイヤの理由や気持ちをわかってあげられない自分は失格と思ってしまう
- (25) イヤイヤにうまく対処できないと責められている気分になる
- (26) 子どものイヤイヤが以前はストレスだったが今は慣れてきた
- (27) イヤイヤ期も今となっては懐かしい
4. 保護者のコーピング戦略
- (19) イヤイヤが子どもの成長につながると思うと我慢できる
- (22) この時期を脱したら平和になれると思って耐えている
- (23) みんなが通る道だと思うと楽になる
- (24) 1人で抱えず別の大人と話すと楽になった
5. 子どもの発達に関する信念
- (29) なんでもすぐに叶えられるより少しは泣いたほうが心の発達の上でもいいと思う
6. 保護者の不安と心配
- (12) イヤイヤ期の子どもに間違った対処をしたら悪影響が残るかもしれないと心配である
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