◆ BOLDコラム第4回 ◆
同志社大学赤ちゃん学研究センターの入口です。 少しずつ暖かい日が多くなってきました。天気が良く暖かいと、お子さんと一緒にお散歩したり、公園に遊びに行ったりと外で過ごす機会も多くなることと思います。特に春は色とりどりの花が咲いて、目でも楽しめますね。
私は「赤ちゃんの色の好みは生まれつきあるのか?」という研究を2022年3月から昨年の10月まで実施し、これまで80名以上のお子さんと保護者の皆様にご参加いただきました。研究にご協力いただきました皆様には、心よりお礼申し上げます。本研究は、色の好みは生まれつきあるのかというテーマで、生後6ヶ月以上の赤ちゃんを対象に、質問紙課題やZoomで数分間イラスト画像を見てもらう課題などを実施しました。
特に、Zoom上でイラスト画像をお子さんに見てもらうという課題は、初めての試みでした。通常、このような視覚的情報を扱う研究は対面で実施するため、コロナ禍以前にはなかった方法であるといえます。初めての研究方法を用いての実施ではありましたが、保護者の皆様に様々な工夫をしていただき、スムーズにお子さんに画像を見てもらうことができました。オンラインを活用した研究は、どこにいても参加できるというメリットもあり、今後ますます活用されていくと思います。BOLDでも様々な研究を実施していくと思いますので、ご興味のある研究にご参加いただけますと幸いです。
本研究のテーマである、「赤ちゃんの色の好みは生まれつきあるのか?」ですが、ご存知の通り、色の好みは千差万別です。皆さんにもそれぞれ好きな色、嫌いな色があるかと思いますが、色の好みは性別や文化によっても異なります。つまり、色の好みは、私たちが生活している社会や文化の影響を少なからず受けているのです。例えば、男の子は青、女の子はピンクや赤など、性別によって洋服などの色を選ぶ場合があります。公衆のトイレのマークには、男性は黒、女性は赤がよく使われています。私たちは無意識に性別と色を結びつけており、これらはまさにジェンダーステレオタイプといえるでしょう。また、日本を含むアジア圏では白を好む文化がありますが、欧米では白はあまり好まれないということを示した研究があります。一方で、様々な国において、共通して青が好まれるという報告もあります。私たちの色の好みは、社会や文化によって作られるということができるのです。
しかし、色の好みは生まれつき存在するのではないかという説もあります。この説は、私たちのような色の好みに影響を与えるような社会や文化を持たないと考えられる霊長類を対象に示されました。これらの研究では、オスの霊長類は青、メスの霊長類はピンクを好み、さらに、おもちゃの種類においてもオスは車のおもちゃ、メスは人形を好むことが報告されています。では、私たちの場合も、社会や文化の影響を受けなかったとしたら、生まれつき持っている好きな色はあるのでしょうか?また、生まれつき持っている好きな色は、霊長類のように性別によって違いがあるのでしょうか?
色の好みは生まれつきあるのか、後から作られるのか、たまごが先かひよこが先かという議論のようですが、この疑問を解明することを目的に本研究を実施するに至りました。現在、データを分析中であるため、今後、研究の結果を何らかの形でご報告できればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。 次号をどうぞお楽しみに。