京都光華女子大学の大谷です。大学での仕事の傍ら、小児科などで心理士としての相談業務もしています。その中で子育てに関するお悩みをお聞きすることもありますが、子どもをどう叱ったらいいのか…という悩みは意外と多いようです。
もう少し詳しく、どう悩んでいるのかを聞いてみると、「厳しすぎて悪影響は出ないのか」「もっと厳しく叱った方がいいのか」など、叱る程度やその影響を心配されていたりします。基本的に、叱り方を悩んで相談するような保護者さんであれば、そんなに無茶はされないでしょうし、あまり心配せずに常識的な範囲でやってもらえば…と思うのですが、一応ひとつの方向として、子どもの「行動」にははっきりと注意を与え、その背景にある「感情や思い」は共感的に理解する、という考え方をお伝えしています。わかりづらいと思うので、場面を想定して考えてみましょう。
ある子どもが、友達が手にして遊んでいたおもちゃを許可なく奪い取り、友達は泣き出してしまいました。「行動」は“友達のおもちゃを奪う”ですので、「友達が遊んでいるのを取ったらだめだよ」と注意することになるでしょう。「貸してって言おうね」と許可の取り方を教えるのもよいかもしれません。一方で、「感情や思い」に着目するとどうでしょうか。友達が楽しそうに遊んでいる様子を見て“ぼくもあれで遊びたい”“ぼくもしたい”と思ったのかもしれません。すると、どうでしょうか。この思いは、特に注意を与える必要があるものではないですし、どちらかと言えば同じ場にいる友達に意識や関心が向いていたりするのは、好ましいことであるとも思われます。そうすると、「そっか、ぼくもしたいと思ったんだね」とその思いを共感的に理解しつつ、「でも、急に取ったらダメだよ」「貸してって言おうね」と行動には注意を与える、というのが基本的な対応になろうかと思います。
子どもの行動はすべて、子どもにとっては何らかの必然性があるものです。「どっちが正しいか」ばかりがフォーカスされやすい時代です。理屈に合わない感情や思いにも光を当てながら子どもたちを育んでいきたいですね。